名言続々!サン=テグジュペリの『星の王子さま』の感想と考察
令和最初の投稿です!!
今回ご紹介するのは世界中で読み継がれている名作中の名作、
実際に読んでみるとなぜ世界で読まれているのか。その所以がよくわかりました。
子供から大人まで、本当に地球上の全員が読むべき名作です!
作品概要
作品名:星の王子さま(Le Petit Prince)
作者:サン・テグジュペリ、河野万里子 訳
出版:新潮文庫
感想
6つの評価
あらすじ
『星の王子さま』は「僕」という主人公の一人称で書かれています。
この作品は、
「僕」が子供のときに自分の絵を大人に見せたときの反応、そして、社交的に大人たちに合わせなければいけない環境からまわりに馴染めないでいる、という思いを描くところから始まります。
『大人になると、みんな「数字」ばかり』という表現が印象的でした。
そしてそんな「僕」が6年前の回想として、砂漠で飛行機を不時着させた際に出会ったある「王子さま」との物語を描いています。
この作品において、「王子さま」は無邪気な子供として描かれており、何かと現実的な「僕」に対して次々と王子さま自らの旅の経験を話していきます。
それを通じで、「僕」も「"人間として"大切なものは何なのか」ということを考えていくという流れです。
作中から感じたこと
では、僕の解釈とはなりますが、この作品から感じたものをキーワードとともにご紹介していきます!
バオバブの木
王子さまの星には、たまにバオバブの木の芽が生えてしまいます。
バオバブの木は根が大きく、とても小さな王子さまの星でそのまま育ってしまうと星が割れてしまいます。
ですので毎日、バオバブの芽が生えていたら取り除く作業を怠ってはいけません。
ここからは、「やるべき小さな仕事をコツコツやらないと後で大変なことになる」という教訓を感じられました。
人は「重要かつ急ぎ」のことから何事も手をつけると思います。
ですが本来は、「重要だけど急ぎではいこと」から手をつけるべきだ、とナポレオン・ヒルは書いていました。
そうすれば自ずと、急いでやらなければいけないことはなくなるということですね。
ここでもそのことを感じられますね!
花
王子さまの星には、一輪の花が咲いています。
この花は喋るのですが、風を避けろだの虫を取れだの、何かと注文してきます。
そうしているうちに王子さまは、一度は花に愛想をつかしてしまいますが、その美しい見た目や香りで王子さまを癒してくれたことを思い出し、花に感謝といたわりの想いを再び持ちます。
ここでは、「動植物への愛情を持つこと」も感じますが、それ以上に「表面上の言葉ばかり聞くのではなく、行動やその言葉の意味をもっと見よう」というメッセージをより強く感じました!
口ではあれこれ注文してきた花ですが、花は存在するだけで王子さまに癒しを与え、話し相手にもなり、王子さまにとってかけがえのないものでした。
世の中には"ツンデレ"や口下手がいる。そして、黙々と行動で示す人だっている。
そんな人たちのことをもっとよく見てあげて!ということですね!
小さな星の王様
とある小さな星に、1人でいる王様がいました。
彼は、自分自身で何を支配しているのかわかっていないのに人を支配しようとする、とにかく命令しようとする人でした。
何も把握していない、何も見えていないにも関わらず人の上に立ち、命令を下す愚かな人、という皮肉ですね。
そして、そんな人間が世の中にはたくさんいるということを伝えたいのではないでしょうか。
大物気取りと酒浸りの男
この2人は、よくいる"ダメな大人"の例ですね。
器の小さな大人と、現実から逃げ続ける大人。
こうはなりたくないとだけもが思うけど、知らず知らずのうちになっているかもしれないという教訓。
「人の振り見て我が振り直せ」とはよく言ったものです。
ホント、全日本人に読んでほしいものです!!
実業家
実業家は「星」を持っています。ここでの「星」は「お金」を意味していると考えられます。
そんな実業家は、ただ「星」を"管理しているだけ"でなんの役にも立っていません。
これも現代のお金持ちたちへの皮肉ですね。
もちろん、実業家の全員が全員というわけではありませんが、中にはお金を稼ぐことしか考えておらず、何かの役に立つことなど微塵も思っていない人もいます。
そんな人にはならないように、という教訓です。
ちなみに僕は、「お金を稼ぐこと」そのものは何の問題もないと考えています。
良いことでも悪いことでもない。
生活するために必要ですし、より良い生活をするには綺麗事抜きで、より多くのお金が入りますからね。
ただ大事なのは、「どのようにお金を使うか」。
ここに人の人格が表れると思います。
自分のためだけに使うのか、人のためにも使うのか、はたまた使わないのか。
作品の「星」の話に当てはめると、「星」をただ管理するのではなく、多くの人に貸し与えたり解放したり、何かの開発のための場所にしたりと、様々に使い道はありますからね。
その部分で「人間としての器」も計れるでしょう。
ガス灯の点灯人
電気が普及しているこの時代には馴染みがありませんが、かつては町の電灯に明かりをつける仕事の人がいました。
とある星にもそんな点灯員がいるのですが、その星は小さすぎですぐに日が登っては沈み、登っては沈みます。
その度ごとに電灯を消しては点け、消しては点けてを繰り返しており、もうクタクタなんです。
王子さまは、はじめは「人の役に立っている素晴らしい人だ」と感じます。
ですが次第に違和感を覚えはじめます。
その点灯員は、指示を聞くだけで自身では何も考えず、ただ人の指示に従うだけの人でした。それでいて「休みたい、寝たい」と口にします。
まあ、今風に言えば"社畜"でしょか。。笑
そして王子さまが、「もっと良い方法があるよ」と提案すると、何かと言い訳を言って聞く耳を持ちません。
「もっと考えて行動してやりがいを感じればいいのに」と王子さまは考え、その星をあとにします。
これも現代の人間、とりわけ日本人に伝えたいメッセージですね。
「せっかく人のためになっているのに、どうしてそんなに暗いの?」
「ただ命令に従うだけじゃなくて、もっと自分で考えて生きていこうよ!」
そんなメッセージです。
僕も強く思います。
これを書いているのは2019年のゴールデンウィーク10連休明け何ですが、
なんだかんだと色々愚痴をこぼしながらお仕事へ向かう人がとても多い。
「そんなに休みたいなら自由に働ける仕事を見つければいい」
「自由に働くためにはどうすればいいのかを調べ、考えればいい」
そう思います。
そして、そう言われるときっと、
「そんなの理想だ」
「今の仕事でいっぱいだ」
と言います。
それでいて通退勤の時間や家では趣味の時間に費やしているのではないでしょうか?
変わる努力もしないで愚痴や人の悪口・陰口を言うのは違いますよね。
そして、変わる努力もしないで現状が変わるわけがないです。
自分が変わらずに、でもその仕事がやりたくないなら、無理やりにでもやりがいを見つけるか、ほかの仕事をするかしかないのに。
せっかくの自分の人生なのに。。
地理学者
ある星の学者は、頭でっかちな社長や研修者を表現しているように思いました。
自分では行動を起こさず、人の話を聞いて資料の上で采配するだけ。実状が見えておらず、机上の空論ばかりを言う人。
これも社長や研究者の全員が全員が、というわけではありませんし、現代ではむしろ、そういう社長・経営者や研究者は少ないと感じます。
「事件は現場で起きてるんだ!!」
ということですね!
きつねとの出会い
王子さまは最後に地球にたどり着きます。
そして長く歩いているうちに、きつねと出会います。
きつねからは「なつく」ということを教わります。
「なつく」とは「絆を結ぶこと」。
そして、絆を結べば、「その人にとって唯一の存在になる」ときつねは言います。
絆を結べば、きつねから見た王子さまは、たくさんの人間の中の特別な1人になる。そうすれば、金色に輝く麦畑を見ただけで王子さまの黄金の髪を思い出し、想い出に浸ることができる、と表現しています。
そして王子さまは、地球にあるたくさんのバラを見ると、自分の星のバラを思い出すことができる。
唯一の存在になれば、ちょっとしたことでその人や動物やモノを思い出すことができる。
その数が多いほど、日々が輝いてみえる!ということですね!
人間はどんな人とも動物ともモノとも絆を結ぶことができる。
これが人間の良いところ、大切なものだと言っています。
かけがえのないものは"共有した時間"そのものなんだ。
人間はそのことを忘れてしまっている、ときつねは言っています。
井戸の水
"僕"は不時着してから水を探しまわりますが、砂漠の真ん中ということもあり水源を見つけることができません。
そうして王子さまと水を探します。
そのときに、砂漠と夜空の美しい光景を王子さまとともに目にします、そして、苦労の果てに井戸を見つけ出しました。
王子さまとの想い出、そして自分の苦労や努力の先に見つけた水だからこそ一層おいしい。そして、永遠に忘れることのない井戸、そして水になると言います。
上のきつねの話と同じですね!
人間は、人・動物、モノ、コトについて、それに関わった事柄をすべて含めて想い出にします。
そして、それを連想するものを見ると思い出し、その度ごとに想い出に浸ることができる、ということですね!
星の王子さまのまとめ
ということで、今回は箇条書きのようにまとめてみました。
うまく伝わっていない気もしますが(笑)、正直言って物語は読んだ人が自分の心のままに何かを受け取るのが一番良いと思います!
そして、それを文字にするなんてことは、本来しなくてもよい作業だと思います!!
(書評を書く人のセリフではありませんが。笑)
ともあれ、『星の王子さま』は大人になったからこそ読みたい作品です。
「年をとると、いろいろ失っていく。」
その通りだと思います。
でも、失ったのならまた取り戻せばいい。
『星の王子さま』は、そんな「大人になって失ったもの」を取り戻させてくれる作品です。
それでいて読みやすいのも大きなポイントですね!
各出版社から売られており、それぞれ訳が少し違いますし、縦書き横書きと種類もあります。
ぜひ本屋さんでご自身のお手に取りながら、どの"王子さまの世界"へと誘われるか、決めて欲しいです!
「一番大切なことは心で見るもの。目には見えないんだ。」